史上最高クラスの難解さ

史上最高クラスの難解さ

フォークナーの『響きと怒り』を読んでいます。

 

いやはや、フォークナーにはいつも驚かされますが、これもまたとてつもない小説です。

 

形式的な「難しさ」だけならば、史上最高クラスの小説かもしれません。

 

というのも、物語第一部の語り手であるベンジャミンはいわゆる白痴の男で、
現在と10いくつの過去のエピソードが、ごちゃ混ぜになって展開されるからです。

ヴォネガットの『スローターハウス5』も似た形式を取っていますが、これよりも遥かに複雑です。

 

ベンジャミンが色々なものを見たり聞いたりする度に、突如として過去の回想にワープするのですが、
何せ一人称の語りなので、「…ということをベンジャミンは思い出した」
のような神の目から見た記述が一切なく、
どの過去を思い出しているのかを判断するだけでも一苦労です。

 

これに配慮してか、
どのページのどの行がどの過去に対応しているのかを示す表が巻末についているくらいです。

 

しかし、こうした形式的な難しさが癖になってくると、内容の面白さとあいまって、
読み進めるのがやめられなくなる小説です。

 

ちなみに第二部の語り手が、『アブサロム、アブサロム!』でも
主要人物の一人だったクエンティン・コンプソン(ハーバードの大学生)で、
彼は今作で自殺してしまうのですが、
作中で自殺したとされているボストンにある橋には、クエンティンを偲ぶ碑があるとかないとか。
いつかボストンに行くことがあったら、確認してみようと思います。